政府債務残高の国際比較(令和元年度 経済学・経済政策 第1問)

問題

下図は、政府の債務残高(対GDP比)の国際比較である。
図中のa〜cに該当する国の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

政府の債務残高対GDP比の国際比較

 

〔解答群〕

ア a:アメリカ b:イタリア c:日本

イ a:イタリア b:日本 c:アメリ

ウ a:日本 b:アメリカ c:イタリア

エ a:日本 b:イタリア c:アメリ

 

解説

「債務残高対GDP比」とは政府が抱えている借金を国内総生産GDP)と比較することで、一国の経済規模に対する債務の大きさを表すために用いられる指標である。簡単に言えば、国の借金を国の収入で割ったもの。

債務残高対GDP比が100%であれば収入と同額の借金をしている状態、50%であれば収入の半分の借金がある状態、200%であれば収入の2倍の借り入れをしていることになる。政府の借金は公共サービスへの投資など経済・社会を回す上で不可欠な部分もあるが、債務残高対GDP比が高まれば一般的に財政破綻のリスクも高まる。本問の選択肢に登場する日本・イタリア・アメリカの3ヵ国は、いずれも対GDP比の政府債務残高が主要先進国の中で大きい国々である。

まず、グラフの中で最も特徴的なaに着目してみる。aは政府の債務残高対GDP比が200%以上と断トツに高い水準で推移しているが、これに該当するのは日本である。日本は歳出が歳入を上回る財政赤字が続いており、税収の不足分を国債発行で埋めている。日本国の財政を家計に例えると月収30万円の家庭が毎月10万円ずつ借金を返済しながら、新たに毎月14万円借り入れている状態であり、債務残高対GDP比は主要先進国の中でもワースト水準となっている。

次に特徴的なのはcで、2008年以降の上昇が顕著である。2008年という時期からリーマン・ショックの影響を大きく受けた国が該当すると考えられ、これはアメリカがあてはまる。

最後に残ったbがイタリアとなる。イタリアはかつて日本を上回る政府債務残高(対GDP比)を抱えていたが、単一通貨ユーロへの参加を目的に財政健全化の取り組みを本格化させた。以降、思うように債務残高の圧縮が進んでいるわけではないが、横ばいの状況が続いている。

 

解答