為替レートの決定理論(令和元年度 経済学・経済政策 第7問)

問題

為替レートの決定に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 金利平価説によると、日本の利子率の上昇は円高の要因になる。

b 金利平価説によると、日本の利子率の上昇は円安の要因になる。

c 購買力平価説によると、日本の物価の上昇は円高の要因になる。

d 購買力平価説によると、日本の物価の上昇は円安の要因になる。

 

〔解答群〕

ア aとc

イ aとd

ウ bとc

エ bとd

 

解説

為替レートは2ヵ国間の通貨の交換比率であり、その決定においては2ヵ国間の経済状況の差が反映されるが、金利の違いに着目した理論が金利平価説、国ごとの物価水準の違いに着目する理論が購買力平価説である。

金利平価説とは、2ヵ国間で金利に差がある場合に、結局はどちらの通貨も同じ程度の利回りが得られるように為替レートが決まるという理論である。

たとえば米ドルが低金利で日本円が高金利の場合、投資家は収益性の低い米ドルを収益性の高い日本円に替えて利ざやを稼ごうとするが、結果として円がたくさん買われて円高が進み、最終的に米ドル・日本円のどちらでも運用益が同じになるまで為替レートの変動が続くという考え方である。

金利平価説に基づくと、日本の利子率の上昇は円の需要を増やして円高の要因となる。よって選択肢aが正しく、bは誤りである。

購買力平価説とは、同一の商品・サービスは同一の価格になるという「一物一価の法則」を前提としている。

たとえばビッグマック指数が有名だが、仮にアメリカでビッグマックの価格が1ドルで、日本での価格が100円だった場合、1ドルと100円で同じビッグマック1個が買えるので為替レートとしては「1ドル=100円」が妥当であるという考え方である。

購買力平価説に基づくと、仮に日本で物価が上昇してビッグマック1個が200円になったとしたら、為替レートは「1ドル=200円」と円安になる。よって選択肢cは誤りで、dが正しい。

 

解答