金融政策がもたらす影響(令和元年度 経済学・経済政策 第6問)
問題
日本経済は、日本銀行による金融政策から影響を受けている。貨幣に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 中央銀行が買いオペを実施すると、マネタリー・ベースが増加する。
b マネー・ストックM1は、現金通貨、預金通貨、準通貨、譲渡性預金の合計である。
c マネー・ストックをマネタリー・ベースで除した値は「信用乗数」と呼ばれる。
d 準備預金が増えると、信用乗数は大きくなる。
〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd
解説
a:買いオペとは公開市場操作手法のひとつで、日銀が市中銀行から国債や手形などを買い取って代金を支払うことで世の中の通貨量を増やすものなので、正しい。
b:マネーストック統計とは金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量を示す統計である。日本ではどこまでを「通貨」と見なすかによって、M1・M2・M3・広義流動性の4種類の指標が作成されている。このうちマネーストックM1は現金通貨+預金通貨であり、マネーストックM2が現金通貨+預金通貨+準通貨+譲渡性預金である。よって、正しくない。
c:信用乗数(貨幣乗数ともいう)とはマネーストックがマネタリーベースの何倍あるのかを示す比率のことである。式で表せば「信用乗数=マネーストック÷マネタリーベース」となるので、正しい。
d:銀行が日銀口座に保有する準備預金が増えると、信用乗数の低下につながる。よって、正しくない。
解答
ア